『五等分の花嫁』に夢中になっている人は、もちろん単行本を購入していると思いますが、誰もが目にしたことがある表紙デザインについて気になる点を見つけました。
もっといえば表紙カバーをめくった裏表紙で、そこには表紙イラストの全体像が描かれていますが、細かな部分を見てみると、第1~6巻までで異なる花びらが描かれています。
今回は『五等分の花嫁』で描かれている花について調べ、その花言葉と五つ子たちとの関連性について考察してみました。
調べてみると面白い関連性というか、あまり公にされていない「イメージフラワー」が存在すると見えてきたため、最後までチェックしてもらえると嬉しく思います。
『五等分の花嫁』単行本の表紙裏はどうなっている?
コミックスの単行本は外装のビジュアルから興奮するものですが、中には表紙裏に物語の伏線を盛り込む場合があります。
ふと気になって『五等分の花嫁』の表紙裏をめくってみましたが、正直言って物語に大きく関わるような内容ではないと言えるかもしれません。
まずは『五等分の花嫁』単行本の表紙裏がどのような作りになっているのか、その意味について考えていくことにしましょう。
コルクボードに貼られた表紙の写真
『五等分の花嫁』の表紙カバーを外すと、そこにはカバーのモノクロイラストが写真になっており、コルクボードに貼られているというデザインになっています。
反対側はフィルムのコマのようなデザインで、こちらも表紙カバーと同じイラストがあしらわれており、特に作者からのメッセージが隠されていると感じません。
ただそれとは別に、写真の近くには表紙カバーの背景に散りばめられた「花びら」があり、ここになんらかのメッセージ性があるのではないかと見ることができます。
イメージフラワーが添えられている
表紙カバーには五つ子それぞれが大きくあしらわれており、その背景には「花びら」がちりばめられているのが『五等分の花嫁』の表紙デザイン。
表紙裏には表紙カバーと同じイラストの全体像が写真化されており、その脇には五つ子たちのイメージフラワーと呼べるものが散りばめられていました。
これは単行本全てに存在しているもので、こと第1~6巻までピックアップしてみると、巻数が増えていくごとに種類も増えていることに気がつくでしょう。
第1巻が五つ子全員、第2巻が一花、第3巻が二乃……と、出生順に表紙カバーを飾り、第7巻からは折り返しとなって、花嫁衣装に身を包んだ五つ子がデザインされています。
イメージフラワーと便宜上は使ってみましたが、表紙カバーにあしらわれている花びらは、ほぼ各ヒロインたちのイメージフラワーと言って差し支えないかもしれません。
四つ葉のクローバーが添えられた第5巻以降
ここで箸休めとして、他の考察で「5巻以降の表紙裏に四つ葉のクローバーがずっとある」というものがありましたが、これを斬っていきたいと思います。
今回の考察を書こうという気になったきっかけでもありますが、以前から考えてみたかった部分でもあったため、このように記事として取り上げてみることに。
結果、後述する考察へと至ったわけですが、他の考察にあった表紙裏の意味について紹介していきながら、独自の見解へと繋げていきましょう。
花嫁は四葉で決定的!?
他の考察にあったのは、「第5巻以降から描かれている四つ葉のクローバーの意味」というもので、ここから四葉=花嫁説へと繋げるという内容。
私からすれば「熱狂的な四葉信者乙」と言わざるをえず、その理由は第1~6巻の表紙裏には法則性が存在しているということ。
第1巻では花びらが1種類のみとなりますが、第2巻では一花のイメージフラワーが加えられ、第6巻までその流れが続いていきます。
すると五つ子全員が表紙デザインを飾ったころには、表紙裏の花びらは全部で6種類存在していることになり、これ以降は増えている様子がありません。
となれば、ここから四葉=花嫁説へと繋げていくには強引であり、考察としても観察が乏しい内容と批判せざるをえない内容と言えるでしょう。
五つ子に当てられた花言葉の意味
五等分の花嫁(1巻):55Pより引用
結論から言ってしまうと、それぞれに当てられているイメージフラワーは、花の知識が皆無な私にとって特定するのが至難の業。
そのためここで予想している内容は確信を持てるほどではなく、結婚式や誕生日花、花言葉などからマッチしそうなものをピックアップしてみました。
特に二乃と三玖に関しては、全く自身がありません……。
花の知識が欲しいと思うばかりですが、もし詳しい人がいれば教えてほしいと本音を吐きつつ、五つ子に当てられている花をまとめていきます。
一花:マーガレット
一花のイメージフラワーは「マーガレット」ではないかと推測しますが、実際に表紙デザインとマーガレットの花びらを比べると、縦長すぎるのではと感じてしまいます。
しかしマーガレットは結婚式でフラワーシャワーに使われる花であるため、推測の域を脱却できないながらも、ピックアップしてみることにしました。
恋占い、真実の愛、信頼、真実の友情、誠実、心に秘めた愛
【黄色のマーガレットの花言葉】
美しい容姿
引用:トリビアの花より
マーガレットは女神アルテミスに捧げられた花であるという逸話があり、「真実の友情」には、永遠に処女であることを近い、従者にも同様の誓いを求めたとあります。
しかし従者が結婚することになると、アルテミスは快く送り出したとも言われており、これが「信頼」や「真実の愛」の由来となっているとのこと。
やがてアルテミス自身もオリオンとの恋に落ち、周りの神々は2人の仲を認めるほどだったとも言われています。(「真実の愛」の由来)
ただマーガレットは、一般的には白い花びらをイメージする人が多いでしょう。
「好き、嫌い、好き……」と花びらを1本ずつ抜いていく恋占いで用いられる花で、クラシックな少女漫画の絵を思い浮かべるはず。
しかし黄色のマーガレットが存在することはたしかで、そこに込められた花言葉「美しい容姿」というのは、一花のイメージにマッチしていると感じます。
女優として頑張る意思を持っており、風太郎の前では元気の明るく振る舞っているのも印象的で、黄色というポジティブなイメージにも合致するばかり。
修学旅行では姉妹の関係をかき乱した行動が目立ちますが、それまでの一花はいついかなるときでも、風太郎や妹たちの前で暗い表情をあまり見せていませんでした。
二乃:クロユリ
二乃のイメージフラワーに関しては、全く自信がありません。
そのため彼女のイメージカラーや花言葉から結び付けられそうなものをピックアップしようと調べた結果、「クロユリ」という花が浮かび上がることになりました。
挙げてみた「クロユリ」の花言葉には、「呪い」というなんとも恐ろしい文字がありますが、これは戦国時代にあった佐々成政のエピソードが由来となっているようです。
一方で「恋」という意味にはロマンチックな内容があり、かつてアイヌ民族の間では大切な花とされているとのこと。
好きな人への想いを込めたクロユリを相手の近くに置き、その相手がクロユリを手にすれば結ばれるという伝説があるようです。
もしも『五等分の花嫁』の物語になぞらえるのであれば、二乃と風太郎を結びつけたのは「ミサンガ」が該当するでしょう。
家出の場面おいて、二乃は風太郎からミサンガを取り上げ、キンタローに返しています。
二乃にとってミサンガとはキンタローと繋がるための必須アイテムで、これに想いを込めていたでしょうし、実際にキンタローこと風太郎が手にしています。
元々は本人のものですが、どうしてもこじつけの域を脱しないのが難点でしょうか。
また、ユリは色によっても様々な意味を持っており、一般的な白色は上記に記載していることに加えて「純潔」という花言葉を持っています。
さらに赤やピンクになると「虚栄心」という意味を持ち、黄色には「陽気」「偽り」、オレンジには「華麗」「愉快」「軽率」などのメッセージが込められている様子。
いずれも二乃の特徴とマッチする部分があるため、「ユリの花」がイメージフラワーであると見ていいかもしれません。
三玖:あじさい
二乃に続き困難を極めたのが三玖で、青色の花びらを持ちながら、大きさも小さ目である花を探すのには苦労しました。
というのも真っ先に浮かんだのが「あじさい」で、本当にあじさいで合っているのか自信を持つことができず、最後まで悩んだ部分となっています。
あじさいの花言葉はポジティブがあればネガティブもあり、イメージカラーと組み合わせた青色のあじさいにしても、同様の意味を窺うことができます。
そもそもあじさいの色は土壌のpH値によって決まるそうで、日本の土壌は弱酸性が多いことから、一般的には青や青紫色になることが一般的とのこと。
雨に打たれながら咲いている姿もまたイメージしやすい情景で、その様子から「辛抱強い愛情」という花言葉が込められるようになったのだとか。
「辛抱強い愛情」と言われると、まさに三玖のイメージそのもので、物語初期からずっと風太郎に恋心を寄せては、振り向かせようと健気に頑張っている姿があります。
また、他の色のあじさいの花言葉については、前述したように生息する土壌によって色が変わることから、「移り気」や「浮気」というネガティブなイメージがつきまといます。
しかしあじさいの花は、小さい花びらが集合して咲くという見た目から、「家族のだんらん」というポジティブな意味が込められているのも事実に。
こちらも修学旅行で描かれた三玖の告白とマッチする内容で、花言葉の意味から推測して見ても、三玖のイメージフラワーは「あじさい」と認識していいのかもしれません。
四葉:クローバー
五つ子のなかで、すんなりとイメージフラワーを見つけることができたのが四葉で、名前からも想像できるように「クローバー」となっています。
花について学が無い私ですら一目瞭然ですが、「クローバー」は葉の数で意味が大きく変わってくるため、簡単に紹介していくことにしましょう。
そもそもの話、なぜ四つ葉のクローバーが幸運の象徴と言われているのかといえば、それぞれの花びらには意味が込められているそうです。
それぞれが「富」「名声」「誠実な愛」「素晴らしい健康」の4つを意味しており、四つ葉のクローバーを手に入れることは、人生を成功させる要素を掴むということ。
これを好きな人に贈ることで、「私のものになって!」というメッセージになり、強気なアプローチが可能になるとも言われています。
またもう1つ面白い話があり、一般的にクローバーの葉は3枚ですが、稀に4枚のクローバーを見つけることができます。
本来は3枚の葉の植物だそうで、踏まれるなど傷つけられることによって、その部分から別の葉が出てきて4枚になるという特徴があるとのこと。
これはまさに四葉の過去そのもので、姉妹の手本になろうと頑張ってきたものの、成績が振るうことなく落第者の烙印を押されていました。
四葉にとってこのできごとは大きな分岐点となっており、それまでは「愛」や「希望」に満ちている様子が描かれていますが、以降からは自分よりも他人を優先するように。
『五等分の花嫁』が始まってからの四葉、すなわち転校してからの四葉は「四つ葉のクローバー」で、これが果たして幸運の象徴というイメージをそのまま持っているのかが今後の展開でも注目点になるでしょう。
クローバーの葉が増えると「愛」から「愛情」へとなり、これが風太郎を想う気持ちから、姉妹を想う気持ちへと変化したとも捉えることができますが、果たして……。
五月:カーネーション
私の花への関心がないエピソードとして、五月のイメージフラワーで真っ先に思い浮かんだのがイチョウでした。
しかし花びらの形をよく観察してみると、葉の先がギザギザしていることに気づき、すぐに「カーネーション」なのだと修正することに……。
五月のイメージカラーと掛け合わせた「赤いカーネーション」の花言葉は、「母への愛」「母の愛」「感動」といったメッセージが込められていて、五つ子たちの母親になろうとする姿勢や、母親のことが大好きな彼女らしさが見られます。
実際に母の日に送る花としてカーネーションが用いられていますが、このような花言葉が存在しているからだと気づくことができますね。
しかし赤の色味について触れていくと、濃い赤のカーネーションは一変してマイナスのイメージがつきまとうようです。
そもそも赤色のカーネーションには「哀れみ」といものがあり、これが深くなる(濃く)なることで「私の心に哀しみを」という花言葉に変化。
まさに母親である零奈を亡くしてしまった瞬間の五月そのもので、こちらもイメージフラワーは「カーネーション」だと見て間違いないかもしれません。
また、他の色にもふれたいところですが、気になった第6巻背表紙の配色に注目して、「オレンジのカーネーション」を取り上げてみましょう。
オレンジのカーネーションには「純粋な愛」「あなたを熱愛します」「清らかな慕情」という意味があり、大切な人に気持ちを伝えるための花色と言えるものに。
オレンジという色は赤と黄を混ぜた色になりますが、一花と差別化するため、そして「母親の代わりになる」という意識から解放された瞬間、「赤を薄くした色」と見ると……。
……もはや、答えが見えてきそうな気がしてなりません。
五つ子:バラ
前述したように表紙裏には6種類の花びらが存在しているため、最後の1つは五つ子たちそのものを表しているのではないかと考えています。
第1巻と第7~10巻には同じ花びらがあしらわれており、これは結婚式やプロポーズなどでよく用いられている「バラ」なのでしょう。
黄:友情、平和、愛の告白
黒:貴方はあくまで私のもの、決して滅びることのない愛、永遠の愛
ピンク:しとやか、上品可愛い人、美しい少女、愛の誓い
青:夢がかなう、奇跡、神の祝福
緑:穏やか、希望を持ちえる
赤:貴方を愛しています、愛情、美、情熱、熱烈な恋、美貌
引用:Wedding Park
二乃のイメージカラーは黒ですが、第8巻表紙ではピンクの花びらがあしらわれていたため、念のために2つとも引用しています。
ところで、バラの花言葉は色によって変化するだけでなく、本数でも変わってくるのはご存知でしょうか?
例えば1本になると「あなたしかいない」というメッセージになり、2本であれば「この世界には2人だけ」と、まさしく愛の告白に相応しい内容に。
3本ではシンプルに「愛しています」「告白」となり、4本になると「死ぬまで気持ちは変わりません」という意味になります。
たった1本増えるだけで大きく意味合いが変わってくるのが面白いところですが、5本になると「あなたに出会えたことの心からの喜び」という花言葉になります。
こうしてみると、バラの数によって変わる花言葉も五つ子たちそれぞれを意味しているようで、5本では姉妹全員の気持ちを代弁しているかのように感じるばかり。
『五等分の花嫁』と花言葉の関連性を突き詰めてみましたが、もしかすると各キャラクターのイメージを考えるときに参考にしていたかもしれませんね。
まとめ
『五等分の花嫁』各ヒロインにイメージフラワーが設定されているか分かりませんが、調べてみると関連する部分が多く、最終的な花嫁への手がかりとなるかもしれません。
今回の考察から見えた結論は、可能性が一番高いのは五月だと考えられますが、第92話を終えてもなお、彼女の気持ちや意思に大きな変化が起こってないと見えます。
未だ五月の心は深く、母親の代わりになるという気持ちから脱却できていませんが、解放されることによって、赤からオレンジのカーネーションへと変わっていくでしょう。
ともあれ、これまでなんとなく見ていた表紙のデザインでしたが、細かな部分で作者のこだわりや意味が込められていたのであれば……今以上に胸が熱くなるばかりです。
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