映画『HELLO WORLD』感想まとめ!ラストでひっくり返りハッピーエンドに

2019年9月20日から公開された映画『HELLO WORLD』の感想になります。

主演に北村匠海・浜辺美波・松坂桃李ら旬の俳優を起用し、他にも子安武人・寿美菜子・釘宮理恵といった人気声優たちも起用されたオリジナル劇場アニメ。

1度だけではなく、2度3度と見直せば気づける新発見もあり、久しぶりに楽しめた作品について、個人的な感想や気になった部分を考察として書きまとめていきます。

映画『HELLO WORLD』のあらすじ

「お前は今日から三か月後、一行瑠璃と恋人同士になる」

京都に暮らす内気な男子高校生・直実(北村匠海)の前に、10年後の未来から来た自分を名乗る青年・ナオミ(松坂桃李)が突然現れる。
ナオミによれば、同級生の瑠璃(浜辺美波)は直実と結ばれるが、その後事故によって命を落としてしまうと言う。
「頼む、力を貸してくれ。」彼女を救う為、大人になった自分自身を「先生」と呼ぶ、奇妙なバディが誕生する。
しかしその中で直実は、瑠璃に迫る運命、ナオミの真の目的、そしてこの現実世界に隠された大いなる秘密を知ることになる。

世界がひっくり返る、新機軸のハイスピードSF青春ラブストーリー。
たとえ世界が壊れても、もう一度、君に会いたい――

引用:オリジナル劇場アニメ『HELLO WORLD』公式サイト

関連書籍

小説『HELLO WORLD』

映画『HELLO WORLD』公式ビジュアルガイド

HELLO WORLD if 勘解由小路三鈴は世界で最初の失恋をする

映画『HELLO WORLD』の感想

©2019「HELLO WORLD」製作委員会

まずは映画『HELLO WORLD』を観た感想から。

全編3DCGで描かれた劇場アニメで、制作は得意分野としているグラフィニカ。CGといっても2Dアニメ寄りで制作されているため、部分的に違和感を覚えつつも、自然と観ることができる絵になっています。

また主演には旬の俳優陣が起用されていますが、声優を本職としていないからか、逆に魅力的に見えてくるところがありました。

その最たるものがヒロインの一行瑠璃で、彼女はスマホが扱えない不器用な人間。それに無表情や目つきから取っつきにくい雰囲気が全体からにじみ出ており、対人関係においてもあまり関わろうとしない素っ気なさを持っています。

しかし低めのトーンや淡々としたセリフ回しから、これが一行瑠璃という人間を知ることができ、ヒロインの個性をすぐに理解できます。さらに言ってしまえば、後半に連れて表情のバリエーションが増えていくため、前半とのギャップでより印象的に。

『HELLO WORLD』において、典型的なヒロイン像というのは勘解由小路三鈴でしょう。学校でもアイドル扱いされており、まさに美少女と形容するに相応しいキャラクターです。

ただ三鈴が登場するシーンは、物語の流れが転換することにはすべて終えることに。映画『HELLO WORLD』において、しょせん彼女はエキストラでしかない、といったあたりでしょうか。

そんな対照的な女性キャラクターが登場する『HELLO WORLD』の主人公は、堅書直実という主人公らしくない少年です。

直実は大人しい性格で、流されやすい性格をしており、学校のクラスの隅っこで過ごしているような人物。そんな彼も好みのタイプは勘解由小路三鈴のような女性で、どこか親近感を持てそうな気がするばかり。

そして未来からやってきたカタガキナオミと出会い、彼から瑠璃と付き合うという未来を知らされると、やはり言われるがまま行動していきます。

しかしナオミが過去にやってきた理由を知ると、直実は自分の意志で行動していくように。大きな変化は古本市のために用意した本が事故で燃えたときで、直実は「神の手(グッド・デザイン)」を使って修理を試みます。

さらにはナオミが本性を現した後、直実は瑠璃を取り戻そうと必死に行動しており、恋をしたことで大きく成長していった様子が手に取るように分かるでしょう。

直実と瑠璃が付き合い始めてからの展開は、まさしくハイスピードSF青春ラブストーリーと呼べる部分。そこからの急展開も突然で、直実の変化も急激と言えます。

極めつけは、ナオミがいる世界まで追いかけてきた直実が、瑠璃の目の前で制裁の一撃を喰らわせたところ。点滅信号を横断する勇気すらなかった少年がナオミを殴り、瑠璃を励まし勇気づけるところも、直実の成長を実感できます。

スポンサーリンク

瑠璃の成長もまた涙を誘うシーンに

クライマックスにおいて、直実と瑠璃は自分たちのいた世界へと戻ろうとします。

ナオミは自分が引き起こしたできごとの責任とケジメをつけるかのように、2人が元の世界に戻れるよう協力していきますが、彼にとって瑠璃がどれだけ特別な存在なのかがよく窺えました。

そのことを知らせるのが、瑠璃の成長です。落雷事故によって10年も意識を失っていた瑠璃でしたが、記憶は量子情報データを持っているためか、直実をしっかりと認識することができています。

ナオミによって目を覚ました瑠璃は、最初こそ目の前のナオミを直実だと認識していましたが、その後に別の存在であることに気が付いています。

しかしナオミとの別れ際、なにが起こっているのか理解できていない状態ではあるものの、目の前にいるナオミに「私を愛してくれていたのですね。ありがとうございます」と告げました。

ナオミであり直実であることに気づいた瑠璃。その口から感謝の言葉が贈られており、彼女もまた直実との出会いによって成長していたことを思い知らされます。

直実と瑠璃が付き合い始めてからの様子というのは、ハイスピード青春恋愛によって内容が見えてきません。しかしそのなかで直実が成長しているのはたしかで、瑠璃もまた同様なのだと分かります。

世界線が見えてから分かる真実 ※ネタバレ

最後になりますが、「この物語(セカイ)は、ラスト1秒でひっくり返る」というキャチコピーについて。

『HELLO WORLD』の世界は、大きく「現実世界」と「データ世界」の2つが存在しています。ナオミは自分がいた世界こそが現実と思っていたわけですが、直実の来訪によって幻だったことを知ります。

すなわち、全編を通じて描かれているのが「データ世界」での物語。唯一の現実世界は、ルリたちがいた月面世界のみです。

ラストシーンでは、大人のルリが目覚めたナオミと抱き合うという描写で終わっており、まさしくキャチコピーそのままの内容で締めくくられています。

ナオミが過去に戻って瑠璃を取り戻そうとした行為、直実が未来に行って瑠璃を取り戻そうとした行為……これらは全て仮想上のできごとであって現実ではありません。

『HELLO WORLD』のネタバレ付きまとめをひと言で表すなら、ルリがナオミを取り戻す物語、という文言になるでしょうか。

現実と仮想、過去と未来のそれぞれがひっくり返り、さらには誰が誰を救おうとしていたのかについても、たしかに全てがたった1秒でひっくり返されました。

ルリが一途にナオミを想い続けていたこと、新世界で新しい物語を紡ぎ始めようとする直実と瑠璃の姿があって、ハッピーにまとめられたと感じるばかりです。

スポンサーリンク

映画『HELLO WORLD』を観た人の感想は?

まとめ

©2019「HELLO WORLD」製作委員会

『HELLO WORLD』はSFが絡んだ青春ラブストーリー。恋によって成長していく直実と瑠璃の様子が描かれ、ラストは世界の真実が垣間見えるものの、やはりそこにも愛が溢れています。

主演に旬の俳優が起用されているということで、アニメを愛好する人からすれば、少し取っつきにくいかもしれません。しかし、そのよく分からない理由だけで『HELLO WORLD』を観ないというのは、もったいないと思います。

初見では複雑で難解に思えるも、じっくりと考え、もしくは2度目を視聴すれば、『HELLO WORLD』という物語が理解できます。

なにより直実と瑠璃のキャラクター像が分かりやすく、2人が成長していく様子には見ごたえがあると感じました。気になる点もいくつかありますので、考察という観点からも楽しめる作品ではないでしょうか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました