2019年も終わろうとしている中、今年最後の楽しみである『星合の空』第12話が放送されました。
まさかの「包丁END」という終わり方で、まさかの2クール放送だったのか?と思いきや、監督である赤根和樹氏のTwitterを見ると、仕方ない事実が判明。
今回は賛否両論を巻き起こしている『星合の空』について、どんな作品なのかをおすすめしながら、2クール目の放送が実現するのかを考えていきます。
『星合の空』はどんなアニメなのか?
テニスといえば、錦織圭や大坂なおみなどがプレイしている硬式テニスを指すかもしれません。しかし『星合の空』で描かれているのは軟式テニスです。
主人公たちの学校は1勝もできない最弱チームで、夏の大会に勝てなければ廃部が決定するという状況に追い込まれていました。そこに転校してきたばかりの少年・桂木眞己は、新入部員として男子ソフトテニス部に参加することに。
弱いチームが団結して勝ちを目指していく……。ここまでのあらすじなら、『星合の空』はスポコン系アニメと思う人が多いかもしれません。
団結してソフトテニスを真剣に取り組む部分がありますので、そうではないと言えばうそになるでしょう。
ただ所属している部員たちは、どこかに心の闇を抱えているのが大きな特徴です。
例えば主人公の眞己は、シングルペアレントという環境にあります。そのことを苦にしておらず、母親と仲睦まじく暮らしていました。
また、眞己を部活に誘った幼馴染の新城柊真にしても、母親から蔑まれるような態度を取られており、さらには優秀な兄を持っているおかげで劣等感に苛まれています。
ほかの部員たちにしても、家庭環境や抱えている悩みは異なりますが、いずれにしても深い問題と対面している状況に。
ソフトテニス部での活動、そしてそれぞれの家庭問題の両方が描かれていて、「一体どうなるんだろう?」と思わずにはいられないアニメです。
全12話を見た感想
どんな人に向いているのか?
まず視聴層を考えてみると、刺さるのは同世代の同じ悩みを持っている中高生、もしくは家庭を持っている親といったあたりでしょうか。
男子ソフトテニス部に所属する中学生たちの姿が描かれている作品で、彼らは多感な思春期という時期を送っています。アニメなら楽しいことや情熱といった部分がフィーチャーされがちですが、こと『星合の空』に関しては、心の部分が強いと感じるばかり。
登場キャラクターはそれぞれの家庭問題を抱えています。
その問題はとてもリアルで、シングルペアレントの眞己は母親と一緒に暮らしていました。しかし父親が度々現れては、眞己に暴力を振るったうえに金を持っていくという、絵にかいたようなクズです。
他のキャラクターについても別の問題を抱えており、これ以上は控えておきましょう。実際に視聴してほしい部分ですから。
同世代の中高生におすすめする理由は、困難な状況でも前に進もうとする彼らの姿に励まされる部分があるため。共感できる部分もあるでしょうから、『星合の空』から元気を貰えるかもしれません。
家庭を持つ親にもおすすめする理由については、少年たちの心情はどういったものになっているのかを知ることができるため。また、キャラクターたちの親がどんな気持ちを抱えているのかをも描いていますので、違った印象を受けるでしょう。
私はどちらかといえば、後者の印象を強く受けました。心の闇を見せている少年たち以上に、はるかに年上である親や兄弟たちが、彼らをどのように見ているのか……。
主人公たちよりも、大人の行動や様子が気になっていました。
心の闇=社会問題とも感じる
少年たちの心理を簡単に言えば、「心の闇」と表現できるでしょう。
眞己は父親に対して暴力を振るわれるという恐れを持っており、柊真は母親に認められたいという想いを持っています。もちろん、他にも劣等感やモンスターペアレントを持つ子の気持ちなど、多種多様に描かれています。
『星合の空』に登場する彼らの心の闇は、いわば社会問題とも言えるもの。
身の上になければ無関心で、ニュースでも見ない限りは、あまりこういった問題には触れることが無いかもしれません。触れないからこそ、現実社会でなにが起こっているのかを知るには、いいきっかけになる作品ではないでしょうか?
オーバーな表現かもしれませんが、たしかに少年たちの心の闇は深いと感じます。だからこそ、子供を持っている親たちは、少し敏感になるかもしれません。
『星合の空』2クール目はくるのか?
毎週欠かさずに『星合の空』を視聴してきた人、あるいは本記事をきっかけに『星合の空』を見たという人は、「2クール目はあるのか?」と気になったでしょう。
私もその1人で、気になって調べてみました。
残念ながら、『星合の空』は執筆時点での2クール目は予定されていないとのこと。しかし構成自体は全24話となっており、問題がクリアされれば実現するはずです。
「星合の空」は今日の12話でテレビでの放送は終わりとなりました。しかし物語にはまだ続きがあり、キャラクターたちのドラマはこの後更に動いていきます。本来は全24話の物語で、3ヶ月後にもう1クールを放送して完結する予定でしたので12話に直結する13話が存在します(続く↓
— 赤根和樹 Akane Kazuki (@Akane2514af) December 26, 2019
監督である赤根和樹氏のTwitterには、このようにありました。
元々は全24話構成で制作しており、そのスケジュールで進めていたとのこと。しかし全12話へ変更されてしまい、今回のような形になってしまったと発言しています。
アニメ制作には多大な資金が動きますから、全24話構成での放送は難しいとなったと予想できるでしょう。しかし私個人的には、無理やり12話に収めて終わらせるよりも、よほど期待感のある終わり方で作ってくれたと考えています。
もちろんスケジュールの変更も現実的ではなかったかもしれません。ただそのままブレることなく12話で一旦終わらせて、チャンスがあれば2クール目を放送する……これは変にOVAなどにするよりも、ファンを動かしやすいからです。
話題になればスポンサーが着くこともあるでしょうから、中途半端に終わってしまうなら、トコトン中途半端に終わらせる。今回の手法が、これからのアニメ業界においてどのような結果を生むのかという部分も、注目すべきところでしょう。
『星合の空』の場合、まだ物語中盤までした放送されていません。男子ソフトテニス部が復活したばかりで、それぞれの問題についても解決や受け入れる時期がこれから描かれていくわけです。
そんな中途半端な状態で終わられては、毎週欠かさずに視聴してきた人は相当な熱を持って次期制作を望むでしょう。
私も実際、心を動かされてBlu-rayを購入しようと検討するに至りました。現実的に、ファンが制作を望む声を出すためには、円盤購入が手っ取り早い方法かもしれません。
物語半ばで終わらせるという手法が、これからのアニメ制作でどのように影響してくるのか……。ただ大きな問題は、『星合の空』がそこまで上位人気を獲得するほどの作品ではないということ。
それでも2クール目制作・放送が決定すれば、業界にとって大きな一歩や影響となるかもしれません。
まとめ
Twitterなどの感想では文句などが目立っていました。事情を知っているのか察していないのかはさておき、不満だけをぶつけるのはナンセンスです。
「『星合の空』って2クール目やるの?……やらないんだ……。」
そんな感想をリアルに呟いた私ですが、監督のTwitterを見た後には、これがアニメ業界の現実なのだと感じずにはいられませんでした。よほどの注目作や大作でなければ、最初から2クールは難しいのでしょう。
数年前まではそんなことが当たり前でしたが、今の時代は違います。そのあたりをしっかりと把握しておけば、また心構えや向き合い方も変わってくるというもの。
昨今ではクラウドファンディングという手法もありますから、何かしら2クール目のアナウンスがされないかどうか、情報をチェックしていきたいばかりです。
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